
【深掘り情報】東京都産紅茶と木下園(東京都東大和市)
お茶には不発酵茶の緑茶、半発酵茶の烏龍茶、発酵茶の紅茶などと、さまざまな種類がありますが、どれももとは同じ“チャ”というツバキ科カメリア属の常緑樹の葉からつくられています。

酸化発酵を利用してつくられた紅茶は、製造の過程で茶葉の色が緑色から艶のある褐色へと変化するだけでなく、抽出液の色も緑黄色から美しい赤褐色へと変わります。また、香りは新鮮でグリーンな香りから花や果物を思わせる華やかで芳醇な香りに変化し、味わいはより深いものへと変化していきます。
ちなみに酸化発酵を少しだけ利用して作られるのが烏龍茶。実は紅茶の発祥の地は、この烏龍茶の製造が現在も盛んに行われている中国の福建省なのです。17世紀前半に中国からヨーロッパに紹介されたお茶は当初、緑茶でした。お茶の人気が次第に高まり、特にイギリスでは、より水色(抽出液の色)と味のしっかりした酸化発酵の強いタイプの烏龍茶(福建省産の武夷茶)が好まれるようになりました。イギリス人の嗜好に合わせて産地でさらに酸化発酵を進めていくうちに、完全発酵の黒褐色の紅茶(Black Tea)が生まれたのです。

★紅茶:Black Tea
摘み取ったあとに陰干しし、茶葉がしおれてからもみ、多湿な環境で完全に発酵させてから乾燥してつくります。お茶の色は赤みがかったオレンジで、香り高い風味が特長です。インド、スリランカ、インドネシア、ケニア、中国などが主な産地。
日本では明治政府が1874年(明治7年)に、内藤新宿試験場内に製茶掛を設置。同年4月に日本において国産の紅茶を初めて試製したという歴史があります。この内藤新宿試験場は、現在の東京都にある新宿御苑。いまでは東京都民の憩いの場として馴染み深い新宿御苑が国産紅茶発祥の地なんですよ。

「ケーキ エクレア 東京」には、木下園*さんの東京産茶葉100%の東京紅茶を使用しています。
*木下園さんがある東京都東大和市は、江戸時代から続く狭山茶の生産地。東京と埼玉にまたがる狭山丘陵は、豊富な清水、肥沃な土地、太陽の日差しに恵まれてきました。実は東京は延々と続く隠れたお茶所処なんですよ。
享保七年(1722年)に創園された木下園さんは、土づくりから茶樹の栽培、製造・販売までを一貫して行なっています。茶畑に隣接する製茶工場には遠くからもよく見える印象的な大樹が。代々受け継がれてきた土地で新芽一葉一葉を丹精し、八十八夜頃に摘み取られた茶葉はすぐに製茶工場に運ばれ加工されます。
国産の紅茶製造は外貨を得るための国策として明治初期に始まりましたが、輸入の自由化等の事情により昭和40年代にほぼ消滅。しかし三代目園主である木下修一氏は2001年に自家農園の茶葉を使った紅茶の製造を復刻。飲みやすくて優しい味わいの東京産紅茶「東京紅茶」の生産がはじまりました。
木下園さんの東京紅茶は、2023年「国産紅茶グランプリ」チャレンジ部門 グランプリ受賞するなど、非常に高い評価を得ています。
*「国産紅茶グランプリ」は、国内で製茶された紅茶を専門家と一般の審査員で審査し、日本一を決める品評会です。

木下園さんの紅茶をはじめとするお茶商品は、製茶工場の隣にある「お茶の木下園 店舗」やオンラインショップで購入できます。緑茶や烏龍茶、東京産の緑茶を使った東京コーラなど幅広い商品が多数揃えられていますよ。
新宿から電車を乗り継ぎ約50分ほどで最寄りの西武多摩湖線・武蔵大和駅に着きます。休日に少し足を伸ばしてみれば、いつもと違う東京が見えてくるかもしれませんよ。
■木下園公式サイト
https://tokyotea.official.ec/
■木下園公式Instagram
https://www.instagram.com/tokyo_black_tea/